さて、突然ですが2本のドリルの違いは何だと思いますか?
画像が汚いので少しわかりにくいのですが、答えは「先端角」です。
ドリルの先端角とは、文字通り、ドリルの先っぽの角度のことです。
通常、市販されているドリルは右のような先端角118°のものが多いです。
これに対し、写真の左のドリルは少し先がとがって見えますね。
このドリルは、先端角が90°になっているものです。
さて、90°という角度を聞いて、勘のいい人ならもう何に使うかお気づきでしょう。
ワークの材料によって変えたりもするのですが、そう、先端角90°といえば皿ネジの皿座繰りの角度です。
皿ネジってなに?っていう人のために説明しますと、皿ネジというのは普通のねじと違って頭が平べったくなっているねじで、通常のなべねじと違い、頭を出っ張らないようにすることが出来ます。
座繰りというのは、この皿ねじを使うための前準備、ねじ頭がすっぽり入るすり鉢状の穴を空けることです。
例えば、マイクロマウスのような車高が低いロボットは普通のねじを使うと底板から出っ張ったねじ頭が床に引っかかったりしてしまうので、このような皿ねじを多く使います。
しかし、先端角90°のドリル、ホームセンター等では売っていません。
また、専用の座繰り工具として売っているものも木工用のものばかりです。
探せばあるにはありますが、例によってRURは万年金欠です……これから導かれる結論は
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|ニア 旋盤で皿ねじの方を118°に削り直す |
| あきらめる |
| 作る |
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答えは一番、旋盤で皿ねじを……ということは当然無く、先端角90°のドリルを作ります。
方法は簡単、単に普通の118°のドリルを卓上グラインダーで90°に整形し直すだけです。
つまり、ドリルを研げればいいわけです。
ドリルもそれほど安いものでもないですし、専用の研磨機を使わずとも、再研磨できるようになっておけば非常に便利です。
別に何年も修行しなければならないようなものでもなく、ドリルを数本ハイスの粉に変える程度の練習でそれなりに切れるドリルを研げるようになります。
皿ねじの皿部の直径はちゃんと規格で決まっていて、どこで買っても皿部の直径はねじ部の2倍、例えばM3の皿ねじの頭はφ6となります。
ですから、使う皿ねじの大きさに合わせて数種類の座繰りドリルを作っておくだけで、写真のようにぴったりきれいにねじが入る座繰りが出来ます。
これを機にドリルを研げるように練習してみる、というのはいかがでしょうか。
ただ、グラインダーは下手に扱うととても危ない機械なので気をつけてください。
溝部