さて、9月も終わりに近づき、そろそろ新学期マイクロマウス、クリッパ、ロボトレースが本格化してきました。
夏休み中、早い人はNHK終了後からずっと設計、製作を行い、最近でも休みにも関わらず深夜まで作業が続いています。実際、完成してすでに走り出しているマシンの何台も見られます。これらの大会は基本的に個人参加なので、勝ちに行くのもよし、ネタに走るのもよし、機械屋が電気に特攻挑戦するもよしでいろいろと自由にできるのがいいですね。今日は、そんなRURで最近流行って(?)いることを紹介したいと思います。
それは「車輪作り」
RURでは学校からいただいた支援で今年から比較的大型の卓上旋盤FL400Eを導入しています。
精度、剛性、出力など、どれをとっても以前の旋盤を遥かにしのぐ性能で(以前のものがどうしようもなかったというのもありますが……)、NHKのときも、多くの部品を生み出してくれました。(外部リンク:旋盤とは?)
基本的に旋盤は円形断面状の加工を行う工作機械ですが、機械という物において回転軸などに使用する円という形状は非常に重要で、それを加工する旋盤はまさにマザーマシンの名にふさわしいと思います。
そんなものがあれば誰でも使ってみたくなるもの、じゃあ何を作ろうかとなったときにマウスの車輪でも作ってみるかとなるわけです。
マイクロマウスなどに使われる車輪、買うと1個2000円以上とかして結構お高い上、サイズもいくつかしかなく……となると、作れるなら自分で作りたくなるものです。
旋盤で自作すると、コストは材料費のみ、サイズや形状もマシンやモータにあわせて自由自在……でも、代わりに時間と技術がいるわけで、みな試行錯誤しながら挑戦しています。
作った車輪と加工に用いたバイトと治具の一例。
材料はアクリルで、加工時の熱で融けるのにさえ気をつければ削りやすく、軽くてわりと丈夫……もっとも、ゴミ捨て場から拾ってきた分厚い板材があったから≒金がかからないからが最大の理由な訳ですが。
R部はグラインダーで成形した姿バイトを用い、軸部は補強と精度、イモネジへの対応のために真鍮を挿入、軸穴は精度を出すためにドリルではなく、中ぐり加工で仕上げています。
使用したバイトは粉末ハイス製ですが、アクリルとは相性がいいのか、超硬製のものより非常によく切れ、仕上げ面もつるつるになりました。
完成バイトを使用できると、旋盤加工の幅はかなり広がります。
まあ、実際どのくらいの精度が出ているかとなると、なかなか難しいなという感じですが、マウスに必要十分の精度は出ているでしょう…たぶん。
数時間ぶっ通しで旋盤回してたりすると高いと思っていた1個2000円の車輪が安く思えてくるから不思議。
旋盤加工は視覚、触覚、聴覚をフル稼働させる実際の切削だけでなく、加工手順、治具、ワークの取り付け、刃物の選定、研磨、および製作などによっても、大きく精度、加工範囲が変わってきます。
非常に奥が深い。
これからも精進したいと思います。
では。
凹部@自称見習旋盤工