飛脚(NHK2006)

飛脚

重量:17.6kg最高速度:5m/s
バッテリー:24V 3300mAh NiMH
マイコン:H8-3052F

真ん中のスカイブリッジにできるだけ早く得点をするために開発されたロボットです。スタート直後に急発進し、1.5秒で目的地に到着、停止後3mのアームをスカイブリッジめがけて1秒で伸ばします。

小さくて軽いロボットはすばやく動かすのはそれほど難しくありませんが、これのように大きくて重いロボットをすばやく動かすのは難しいのです。重いものを早く動かすには大きな力が必要です。大きな力を出すためには強力なモーターが必要です。強力なモーターは電力をたくさん食うので、大容量のバッテリーとコントローラーが必要です。さらに、ギヤやシャフト、ハブなどの駆動部品はきちんと強度を見積もって設計しないと壊れます。

このロボットの動作は大きく分けて走行とアーム展開の2つに分けられます。走行時はできるだけ速度を稼ぐために、ステアリングの制御はせず、ライントレースもせずにただひたすら直進するのみです。そのため、タイヤがスリップしてしまうと目的の位置に正確に止まることができません。スリップを防ぐためにタイヤには特殊なゴムが使われており、重心バランスも最適化されています。その上、車体下部の空気をファンで吸い上げることによりダウンフォースを発生させ、グリップ力を高めています。そこまでスリップを防ぐ工夫をしていても、モーターのパワーを常に全開にしていてはさすがにスリップしてしまうので、スリップしないぎりぎりのところでモーターの出力を制御しています。モーターの回転数はロータリーエンコーダでフィードバックされており、この値を使って現在の速度と位置の情報をマイコンに取り込みます。スタート位置から停止位置までの距離をあらかじめマイコンに記憶させておき、マイコンが加速減速を制御して目標とする位置に来た時点で停止するようにプラグラムされています。

アームは、合計1kgの重さの発泡スチロール製のブロックを3mはなれたスカイブリッジと呼ばれる得点スポットに運ぶのが主たる目的で、得点後に妨害用の釣竿を伸ばすことで相手の得点を妨害する機能があります。アームの動力は空気ばねと呼ばれるばねの一種で、試合前に電動ドリルを使ってエネルギーを蓄えておき、ストッパーを解放することで一気にばねが伸びます。ばねには滑車を介してステンレス製のワイヤが取り付けられており、このワイヤがさらにアームのフレームに取り付けられています。ばねが伸びるとワイヤが引っ張られてアームが伸びる仕組みです。アームの伸張スピードもできるだけ早くするために、ばねはかなり強力なものを使用しています。これは人間の力では縮めることができないので、縮めるときには電動ドリルを使っています。滑らかな伸縮を実現するために、スライド部分には小型のベアリングを使っています。

楕円: 2楕円: 1